一般社団法人 日本創作療法学会理事長 臨床心理士 櫻井 眞澄 冒頭から例え話で恐縮ですが,ぜひ文末までお付き合いください. 《基本的な姿勢について》 ★ テレビの推理ドラマを観て真犯人を捜し当てようとする場合,2つの方法があります. ★ 1つは犯人の動機,残していった証拠などを詳細に検討し,理論的な推理によって真 犯人を推定する方法です. もう1つは,ドラマに登場している役者を俳優としてのランク順に並べ,主役である探偵 の次に俳優としてのランクが高いと思われる役者を真犯人と推定する方法です. ★ 推理ドラマを鑑賞する方法としては,前者の方が「正しい鑑賞法」のように思います. しかしながら少しでも早く真犯人を見つけ出し,事件をより早く解決する方法としては, 後者の方が「役に立つ鑑賞法」のように思います. 後者の方法が偶然ではなく,いつも「高い確率で解決し続ける方法」だったとしたら, 尚更です. ★ 私たちのセラピーあるいはカウンセリングにおける基本的な立場は,「理論的に正し い方法」より「実践現場で役に立つ方法」を研究し,セラピーやカウンセリング現場で の実践に活かしていきたい,という姿勢です. このような考えにご賛同頂ける方はぜひ入会して,研究や実践活動を私たちとご一緒 してくださいますよう,どうか宜しくお願い申し上げます. 《色彩心理学と臨床色彩心理学について》 A,色彩心理学の視点 ★ 実験心理学を基にした色彩心理学の視点によれば,ピンク色は女性にとって夢や希望, 安心感に関係深い色です. ★ そこである産婦人科クリニックの内装にピンク系を用いたら,ほとんどの受診者に歓 迎されました. つまり色彩心理学の視点では,最大多数の最大公約数的な色彩反応に注目して,その 成果を社会で活用しようとします. B,臨床色彩心理学の視点 ★ 実験心理学を基にした色彩心理学の視点によれば,ピンク色は女性にとって夢や希望, 安心感に関係深い色です. ★ そこである産婦人科クリニックの内装にピンク系を用いたら,ほとんどの受診者に歓 迎されましたが,歓迎しない受診者もいました. 歓迎しない受診者に理由を尋ねると,かつてピンク系を用いたクリニックで期待を裏 切られ,大きく傷ついた辛い思いを経験していました. ★ 歓迎しなかった受診者はその後,そのクリニックで期待通りの診療を受け続けること ができると,ピンク系の内装を,好感を持って受け容れられるようになりました. ★ この受診者の色彩反応変遷過程は, ピンク系に対して,○ ⇒ × ⇒ ○ となります. つまり臨床色彩心理学の視点では,最大多数の最大公約数的な色彩反応ではなく,個 々人に特徴的な色彩反応とその反応の変遷過程に注目します.そして個々人のセラピー やカウンセリングで活用しようとします. また日常生活の,こころの安定に活用しようとします. ★ 私たちは,臨床色彩心理学領域での研究がもっと活発になされるべきと感じています. このような考えにご賛同頂ける方はぜひ入会して,研究や実践活動を私たちとご一緒 してくださいますよう,どうか宜しくお願い申し上げます. |